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敗者復活

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_e0034633_19041472.jpg昨年末、フィンランドの巨匠アキ・カウリスマキ監督が引退からいつの間にか復帰した記念すべき作品「枯れ葉」

が公開されました。


オフィシャルサイトは ここ。


見に行きたかったけど、行けなかった。
まだ上映されている映画館がないわけじゃない…けど、配信かテレビ放送を待つことにしました。


カウリスマキ監督は、○○三部作 と銘打たれる作品がいくつかあって、労働者三部作、敗者三部作、負け犬三部作・・・(泣けてくるな)


そのうち、敗者三部作の三作目
「街のあかり」(2006年)
を見たのは2009年でした。このブログでの記事は ここ。


三部作の一作目と二作目も見なくちゃなーと思っているうちに、実に15年がたってしまいました。
Amazon Prime Video で配信されていることに気が付いたので、このたび見てみました。


まず第一作目
「浮き雲」(1996年)
Amazon Prime Videoの配信は ここ。



レストラン「ドゥブロブニク」の給仕長イロナ(カティ・オウティネン)と
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路面電車の運転士ラウリ(カリ・ヴァーナネン)は
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仲良く、つましく暮らす普通の夫婦。

ローンを組んで家具や新しい家電を買い
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イヌも飼って、ごく平凡に幸せに生きている。
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ところが、ラウリは人員整理でいきなり解雇され、伝統料理が売り物のレストランも売却されて閉店。
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二人はいきなり失業者に。

職業安定所でも仕事が見つからず、イロナは場末の安食堂に雇われるが
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給料の支払いをうやむやにされてしまうし、それを請求に行ったラウリは袋叩きにされて放り出されるしで、踏んだり蹴ったり。


ここへきて、ついにふたりは自分たちでレストランを経営することを決意。
車を売ったお金をカジノで増やそうとしたラウリはすってんてんになり、資金のめどがまったく立たなかったところへ
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かつてのレストランのオーナー(エリナ・サロ)から、出資の申し出が。
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あの手この手でドゥブロブニクのメンバーたちを呼び戻し、イロナとラウリのレストランは開店にこぎつける。
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さあ、お客さんは来るのでしょうか。。。
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ラウリがかぶっている(?)看板の店名「TYÖ」は、フィンランド語で「仕事」という意味だそうです。
次から次へと不幸に見舞われる二人ですが、ラストは希望の持てる終わり方で、二人が見上げた空には雲が。。。
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これならば、敗者復活といってもいいかと。




_e0034633_19594787.jpgそして、三部作の二作目


「過去のない男」(2002年)


Amazon Prime Video の配信は ここ。


映画の終わりに近くなったころに、サウンドトラックで
「ハワイの夜」(クレイジー・ケン・バンド)
「Motto Wasabi」(小野瀬雅生ショウ)
という曲が流れて、ちょっとびっくりしました。
日本語が聞こえてきたのが意表を突かれた。
(お寿司を食べている場面)




ヘルシンキに、夜行列車で着いた男(マルック・ペルトラ)。
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ベンチで朝まで寝ていようとしたところを、暴漢に襲われ、何もかも奪われてしまう。
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病院で、一度は死亡宣告を受けたものの、息を吹き返して脱走。
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港で倒れていたところを、コンテナに住む貧しい家族に助けられる。
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男は、記憶を失っていた。
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一家の主人は救世軍の炊き出しに男を連れて行き
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人生は後ろには進まない。と、励ます。
地元の悪徳警官はコンテナを男に貸し与えるし
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男はコンテナの前でジャガイモを作ったりして
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なんだか平和に暮らしている。
コンテナの中には拾ったジュークボックスを置いたり、イヌも飼ったりしている。
身元が分からないので職安では門前払いを食らったけど、救世軍で仕事は見つかるし
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そこの下士官イルマ(カティ・オウティネン)と仲良くなり
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二人は少しずつ少しずつ、じれったいくらいにじりじりと距離を縮めていって
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(二人とも無口)
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(キノコ狩りをしている)
男は、だんだんと人間らしさを取り戻していく。


造船所で溶接をしているところに出くわし、自分がその技術に長けていることに気づいたりして
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新しい仕事を見つけたりもする(採用した事務員が、エリナ・サロでした)。


そんな時、銀行で強盗事件に巻き込まれたことで
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いきなり男の身元が判明。
妻のいる家に帰らなければならなくなり。。。


え~!イルマかわいそうだよ~!
と思ったんですが・・・その帰郷のための夜汽車で寿司を食べている場面で、先にご紹介した曲が流れていたんでした。
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結論を言ってしまうと、いろいろ都合よく事情は変わって、男は再びイルマのところへ戻ってきます。
その感動的であるべきラストも、妙に淡々と静かで、哀感の中に可笑しみもあって、しみじみ人生ってこんなもんだよなあ、と思わせる。。。


や、もう、三部作全部そんな感じなんですけどね。
悪いことも続くけど、そればかりでもない、どん底かと思っても案外しあわせを感じたりもする。
これがこの監督の作風なんだよなあ、と思うのでした。


(主役が若い美男美女というわけではないところなんかも)
(やっぱり「枯れ葉」見たいなあ)




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