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野獣、死すべし。

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_e0034633_18444579.jpg昨年、目を引く装丁の文庫本が平積みになっていました。表紙いっぱいにタイトルが書いてあるのだけれど、何と読むのかわからない。
2014年に出版された単行本版は、同年の本屋大賞を受賞したそうです。


「HHhH プラハ、1942年」

   ローラン・ビネ著 創元文芸文庫


初めて読む体裁の本で、ノンフィクションなのか小説なのかよくわからない。
実在の人物の生涯を取材しながら脚色を排除して執筆しようとする主人公の、執筆している内容はノンフィクションのようですが、「僕」についての記述は創作かもしれない。
文体と構成になかなか慣れず、読むのに時間がかかってしまいました。


が、おもしろい。
内容が重たいので、読後感も重量級です。


実在の人物とは、ユダヤ人虐殺の首謀者ラインハルト・ハイドリヒ。
「金髪の野獣」と呼ばれた男です。


ちょうど、彼が主催した「ヴァンゼー会議」の議事録をドラマ化したものがWOWOWで放送されたので、見てみました。


「ヒトラーのための虐殺会議」(2022年)
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オフィシャルサイトは ここ。


1942年1月20日、ドイツ。
ベルリン郊外にあるヴァンゼー湖畔の邸宅に、15名の高官が集まっていた。
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主宰者は、ナチス親衛隊大将にして国家保安部長官のラインハルト・ハイドリヒ(フィリップ・ホフマイヤー)。
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親衛隊と各省庁事務次官の15人が話し合った議題は
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「ユダヤ人問題の最終解決」について。
すなわち、全ヨーロッパ1100万人のユダヤ人を計画的かつ効率的に抹殺するという、恐るべき内容の会議だった。。。


恐ろしいのは、抹殺は大前提で、その方法に関しての実務的な内容を粛々と詰めていく、という出席者の姿です。
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会議の長さは90分。
議事録を忠実に再現して構成、事務的に淡々と進んでいくところが実に気持ち悪い。
のちに、会議の出席者の一人アイヒマンの裁判を傍聴したハンナ・アーレントが、悪の本質を
 思考していないこと(「エルサレムのアイヒマンー悪の陳腐さについての報告」1969年)
と記していたのを思い出しました。


ドイツのテレビ局ZDFがヴァンゼー会議から80年という区切りでドラマ化、日本では劇場公開されました。
エンドクレジット時、何も音楽が流れず、なにか不気味な静けさ。
そういえば本編でもBGMはなかったような。。。


そのあと、よせばいいのに
「夜と霧 新版」ヴィクトール・E・フランクル みすず書房
を読んでしまい。


このやりきれなさを、どこにぶつければいい?


というわけで、「金髪の野獣」を暗殺することにしました。


「ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺計画」(2016年)
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Amazon Prime Video では こちら。


「HHhH」でクライマックスとなる「エンスラポイド作戦」を描いた作品。
「オッペンハイマー」でこのたびアカデミー主演男優賞を受賞したキリアン・マーフィが主役です。


1942年。
イギリス政府とチェコスロバキア亡命政府の指令で、チェコスロバキア出身の兵士7名が、パラシュート降下でチェコ領内に送り込まれる。
そのうちのヨゼフ・ガプチーク(キリアン・マーフィ)とヤン・クビシュ(ジェイミー・ドーナン)は
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プラハ市内のレジスタンスにかくまわれ
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市民に紛れて行動しながら
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暗殺のターゲット、ハイドリヒを襲撃する機会をうかがっていた。
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ハイドリヒの行動パターンを知った彼らは
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襲撃を決行。
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しかしナチスの報復は凄惨を極め、追い詰められた実行部隊は、立てこもった教会で絶望的な闘いを強いられる。。。
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「HHhH」の冒頭が、この暗殺事件の遺物に出会う場面でした。
今も教会の壁に、銃弾の跡が残っているそうです。


「エンスラポイド作戦」を描いた映画は、ほかに
「死刑執行人もまた死す」(1943年)
「暁の7人」(1975年)
そして、「HHhH」を映画化した
「ナチス第三の男」(2017年)
があります(これは無料配信になったら見よう)


野獣の暗殺は成功したけれど、主人公たちの運命を思うと、気分はすっきりしないままでした。
ああ。。。


(トビー・ジョーンズも出ていました。レジスタンスのメンバー)
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(キリアン・マーフィってきれいだな。と思ったのがこの場面)
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(前髪ハラリのせい?)



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