
相も変わらずの不調で、映像や音の刺激がつらくて、寝床で本を読む日々でした。
前回の記事で「ラスト・フル・メジャー」をご紹介しましたが、それで戦争ものに関して弾みがついてしまい、「史上最大の作戦」や「ブラックホーク・ダウン」の原作を読んでしまう。
そして。
なぜか映像化されない(壮絶すぎるからか?)、アリステア・マクリーン(「ナバロンの要塞」の作者です)の不朽の名作
「女王陛下のユリシーズ号」(ハヤカワ文庫)
に没頭し、
やっぱり相手側から見たものも読まないと不公平だよな。
と思って
「デーニッツと灰色狼 Uボートの栄光と悲劇」W・フランク著 松谷健二訳 フジ出版(1975年)
を読み始めました。(古本です。2000年学研版あり)
作者はデーニッツ提督の参謀本部スタッフだった元士官、デーニッツ愛に満ちた大作。
そんなわけで、ちょっと体調がよかった昨日。
ヴォルフガング・ペーターゼン監督追悼特集をしているムービープラスで放送された、この作品を見てしまいました。
「U・ボート」(1981年)
ムービープラスの番組サイトは ここ。
1941年、ドイツ占領下のフランス、ラ・ロシェル軍港。
出港を明日に控えたUボート艦長(ユルゲン・プロホノフ)と、随行することになった海軍報道班少尉ヴェルナー(ヘルベルト・グルーネマイヤー)。


ヴェルナーが取材を始めた艦の中は




…狭い。(頭上にはハムやソーセージが。のちにはバナナやパイナップルが)
息苦しさと悪臭に辟易するヴェルナーだったが






突然の任務変更、イタリアに向かうことになったU96は、スペインのビゴで補給を受ける。

そして、立ちはだかる難所のジブラルタル。
爆雷で損傷を受けたU96は、限界を超えた深度まで沈んでゆく。。。

見ているこちらも息を止めてしまう。
もう絶望的と思った時に、乗員の必死の努力で辛くも浮上。






えっこんな終わり方?でも現実だろうなあと、ハリウッドの戦争映画的ではない結末に、初めて見た時は感動したものでした。
Uボートの乗員のうち、兵士は19歳とか20歳という若さ、下士官が23歳くらいで艦長は25歳前後、30歳越えたら爺さん呼ばわりだったらしいです。
4万人のUボート隊員のうち、3万人が生還しませんでした。
ユルゲン・プロホノフの艦長、いいですね。

ムービープラスで放送したのは143分の劇場版。
ディレクターズ・カット版は208分、ドラマ版もあって全6話300分(これは見ていない)。
ざっばーん!!という大波を食らったり、どっかーん!!という爆撃を食らったり、常にずぶ濡れだし酸素は無くなってくるしで、わかっていたけど見ていて大変につらかったです。
元気な時に見ればよかった。。。
(でもペーターゼン監督の、最高傑作だと思う)
(見ていて損はありません)
(U96の艦橋と艦内のセットは、ミュンヘンのバヴァリエ・アトリエに保存されていて、見学可能だそうです)

(あ、「女王陛下のユリシーズ号」がどれくらい壮絶かというと、ハヤカワ文庫の表紙(生頼範義 画)でわかります)
